犬や猫の熱中症【越谷どうぶつ病院】
熱中症は長時間高温多湿の環境下にいることにより、高体温と脱水が起こることにより、全身の組織障害が引き起こされる病態です。
熱中症になると以下の症状が見られます。
熱中症の症状
・高体温(40.5℃以上)
・ハァハァと息をする(パンティング)
・心臓の鼓動が早くなる
・嘔吐、下痢
・ふるえ
・意識が朦朧とする
・発作
まず体温を測りましょう。
直腸で測りますので、できれば動物用の先が曲がりやすい短時間で測れるタイプのものを用意しましょう。
体温が40.5℃以上あり、熱中症になりかねない要因があった場合は、熱中症を疑います。
高体温によりタンパクが変性し、組織障害を起こす可能性がありますので体を冷やし動物病院へ連絡しましょう。
ご自宅でできる対処法
身体を冷やす方法は以下の通りです。
犬や猫の平熱は38℃前後ですが、冷却後も体温は下がる可能性がありますので、まずは39.4℃を目指しましょう。
下がりすぎる可能性もありますのでこまめに体温をチェックしましょう。
・常温の水をスプレーする
・常温の水で濡らす
・濡らしたタオルで覆った後に扇風機で送風する
・保冷剤をタオルで包み太い血管の走っているわきの下や股に挟む
※冷水での直接的な冷却は末梢血管を収縮させ、温度の高い血液が体の内部へ循環し、組織障害を起こす可能性があるため、注意が必要です。
診断および治療
熱中症の診断は高体温と熱中症になりうる要因があったか、飼い主様からの問診により判断します。
熱中症が疑わしい場合は、各臓器に障害が起きている可能性があるため、血液検査や尿検査などを行います。
熱中症の治療
酸素吸入
冷却と同時並行で酸素マスクにより酸素を吸入します。
特に短頭腫では熱中症に伴い、咽頭浮腫や気道閉塞を起こすこともあるため、積極的な酸素吸入が必要です。
状態が安定したら酸素ケージ内での酸素吸入に移行します。
※当院では安定した酸素吸入に有効な動物用ICUを導入しました。
ケージ内の酸素濃度、室温を一定に保ち、除湿やケージ内にこもる二酸化炭素も排出することができます。
輸液療法
熱中症による脱水を改善させるために輸液を行います。
ショック状態を引き起こしている場合は、血圧や心拍出量を改善するような薬も投与します。
熱中症に続発する疾患
急性腎不全
熱中症による重度の脱水と横紋筋の融解により急性腎不全になることがあります。
腎臓は体にとって不要な老廃物を少量の水分と共に体外へ排出するための尿を作っています。
急性腎不全になると尿を作ることが出来なくなり、体に老廃物が蓄積することにより、けいれん発作を起こすことがあります。
そのため輸液療法を行っても尿があまり出ない場合は利尿剤の投与も行います。
全身性炎症反応症候群(SIRS)
熱中症により消化管粘膜のバリア機能が低下すると腸内細菌が腸管以外の臓器に移行することがあり、それにより全身性炎症反応症候群(SIRS)が引き起こされる場合があります。
全身性炎症反応症候群(SIRS)は重度の炎症疾患から、その炎症反応が全身に広がる病態であり、多臓器不全を起こすことがあり、命に関わります。
播種性血管内凝固症候群(DIC)
播種性血管内凝固症候群(DIC)になると血管の中に血栓という血の塊ができ、それが全身の各臓器に流れることにより、全身性の組織障害が引き起こされます。
血栓を消耗したあとは、血が止まらない出血傾向となり、死亡することがある病気です。
脳虚血・脳浮腫
脱水による循環不全により脳虚血や脳浮腫が引き起こされます。
脳浮腫や脳虚血が起こるとけいれん発作や意識障害が起こります。
虚血状態が続くと脳細胞が死亡してしまうため、後遺症として症状が残る可能性があります。
越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬や猫の熱中症でお困りの際は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡