猫の伝染性腹膜炎(FIP)について【越谷どうぶつ病院】
猫伝染性腹膜炎(FIP)とは
猫伝染性腹膜炎(FIP)はFIPウイルスの感染によって引き起こされる死亡率の高い感染症です。
かつては発症したらほぼ100%死亡する怖い病気でしたが、現在では新たに治療薬が見つかり多くの猫が助かるようになりました。
FIP治療薬の先駆けであった『MUTIAN』はかなり高額であったため、助けたくても治療費の問題から、諦めざるを得なかった飼い主様も少なくありませんでした。
近年ではレムデシビル、GS-441524、モルヌピラビルという新しいお薬が良好な治療成績を収めています。
治療薬としての歴史が浅いため、まだ長期的な予後や副作用に関しては不明な点も多い薬ですが、学会等でも治療のプロトコールが発表され現時点では一番信頼できる治療薬です。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状
猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症すると元気消失、食欲低下、体重減少、発熱、腹部膨満、呼吸困難、発作、眼症状などが見られます。
猫伝染性腹膜炎(FIP)にはウェットタイプとドライタイプの2つの型があります。
ウェットタイプは腹水や胸水の貯留が認められます。
胸水が溜まると呼吸が苦しくなり、腹水が溜まるとおなかが膨らんだ様子が認められます。
ドライタイプは肉芽腫と呼ばれるしこりがおなかの中や内臓、神経に作られます。
肉芽腫が脳や神経に作られると、けいれん発作や歩行のふらつき、意識障害などが見られることがあります。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因
猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因はFIPウイルスの感染が原因となります。
FIPウイルスは猫コロナウイルス(FCOV)が変異することにより発生します。
猫コロナウイルスは感染猫の糞便や尿中に排泄されます。
日本国内の猫の猫コロナウイルス保有率は純血種が76.3%、雑種が50.1%と言われており、大半の猫がすでに感染していますが、その多くが無症状か軽度の軟便を示す程度です。
猫伝染性腹膜炎に罹りやすい年齢、猫種
猫伝染性腹膜炎を発症する猫の大半は2歳未満と比較的若齢で発症します。
アビシニアン、ベンガル、ブリティッシュショートヘアー、ヒマラヤン、ラグドールなどの品種が発症しやすいと言われています。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の診断
猫伝染性腹膜炎(FIP)の診断には各種検査を行い、その結果から複合的に判断します。
血液検査
軽度の貧血と好中球の増加
グロブリンの上昇
猫コロナウイルス抗体価高値
レントゲン検査、超音波検査
胸水、腹水の貯留
肉芽腫
PCR検査
腹水、胸水、肉芽腫から採材したものを用いPCR検査し、FIPウイルス陽性
猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療
かつてはステロイド剤、インターフェロンの投与を行う治療が一般的でしたが、発症するとほぼ100%死亡してしまう状況でした。
近年ではヒトの新型コロナウイルスに対する治療薬が猫伝染性腹膜炎に有効であることが分かり、多くの猫が助かっています。
当院ではすぐにFIP治療を開始できるようFIP治療薬を常備しています。
愛猫が猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症し、治療にお困りの方は一度ご相談ください。
当院での治療の一例と費用の目安
※まだ診断がついてない場合は別途検査代がかかります。
重症例(食欲がなく1週間以内に死亡のリスクがある)
・3~4日の入院治療(治療費目安:10~15万円)
レムデシビルという注射薬の投与、その他必要に応じた補助治療および検査
・食欲が改善し投薬可能となったら内服薬へ移行し、定期通院へ
※当院では入手のしやすさと治療費を抑えるため、モルヌピラビルというお薬を使用しています。
お薬は再発防止のため84日間しっかりと内服して頂きます。
(治療費目安:5~10万/84日間)
猫伝染性腹膜炎(FIP)の予防法
猫伝染性腹膜炎の発症において気を付けることはストレスによる免疫力低下を防ぐことです。
猫のストレスなりうる要因としては以下のことがあげられます。
・飼い主の不在
・新たな同居猫・犬
・騒音
・気候変動
・来客
・ペットホテル
・手術 など
人と動物が生活をする上で全ての要因を防ぐことはできませんが、意識的に生活することで猫のストレスを少し減らすことができます。
越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、猫のFIP治療でお困りの場合は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡