【犬の肺水腫】ゼーゼー・ハァハァは危険なサイン。命に関わる呼吸の病気を見逃さないで|越谷どうぶつ病院

【犬の肺水腫】ゼーゼー・ハァハァは危険なサイン。命に関わる呼吸の病気を見逃さないで|越谷どうぶつ病院

 

目次


犬の肺水腫とは?

肺水腫(はいすいしゅ)とは、本来は空気で満たされるべき肺の中(肺胞やその周囲)に、液体(血液由来の水分)が染み出して溜まってしまう状態をいいます。 肺が水でびしょ濡れになってしまうイメージで、重い呼吸困難を起こす非常に危険な病気です。

犬の肺水腫の多くは、心臓病(特に僧帽弁閉鎖不全症など)に伴う「心原性肺水腫」ですが、 感電・溺水・重度の炎症などにより起こる非心原性肺水腫もあります。

いずれの場合も、そのまま放置すると命を落とす危険性が高く、緊急治療が必要な状態です。


主な症状

肺水腫になると、次のような症状がみられることが多いです。

● 呼吸の異常

  • 呼吸がとても速い・浅い
  • 口を開けてハァハァしている(パンティング)
  • 苦しそうに肩やお腹を使って息をしている
  • 横になれず、座ったり立ったまま呼吸している
  • 夜間や明け方に突然苦しそうにする

● 咳・チアノーゼ

  • ゴホゴホと咳き込む
  • 泡状のよだれやピンク色の泡を吐く(重度)
  • 舌や歯ぐきが紫色っぽくなる(チアノーゼ)

● 全身状態の変化

  • とても元気がない・ぐったりしている
  • 立ち上がるのもつらそう
  • 食欲低下・水を飲む量の変化
  • 失神や意識消失がみられることも

「なんだか苦しそう」「いつものハァハァと違う」と感じたときは、迷わず受診を検討すべき状態です。


原因

犬の肺水腫には、主に心原性非心原性の2つのタイプがあります。

● ① 心原性肺水腫(心臓病が原因)

犬で最も多いタイプです。心臓のポンプ機能が低下することで血液の流れが滞り、 肺の血管から水分が染み出してしまうことで肺水腫になります。

  • 僧帽弁閉鎖不全症(小型犬に多い)
  • 拡張型心筋症・心筋症
  • 重度の不整脈
  • 先天性心疾患 など

● ② 非心原性肺水腫(心臓以外が原因)

心臓に問題がないのに肺水腫になる場合もあります。

  • 感電(電気コードをかじるなど)
  • 溺水(プール・浴槽・川など)
  • 重度の肺炎・誤嚥性肺炎
  • 全身の重い炎症(敗血症など)
  • 頭部外傷・けいれん後 など

いずれのタイプも、早急な診断と治療が命を守る鍵となります。


動物病院に行くべき目安

肺水腫は「様子を見てよい病気」ではありません。 次のような様子が見られたら、できるだけ早く受診してください。

  • 呼吸が明らかに速い・苦しそう
  • 口を開けて必死にハァハァしている
  • 横になれず、座ったまま・立ったままゼーゼーしている
  • ピンク色の泡・泡状の液体を吐いた
  • 舌や歯ぐきが紫色(チアノーゼ)
  • 心臓病があると言われていて、最近咳や呼吸が悪化している

「いつもと違う呼吸」「急に悪くなった呼吸」は、一刻を争うサインです。 なるべく涼しく静かな環境で安静にしつつ、早めにご連絡ください。


治療法

犬の肺水腫の治療は、「いま目の前の命を守る治療」+「原因に対する治療」の2本立てで行います。

● ① 緊急処置

  • 酸素療法(酸素室):苦しい呼吸を助けるために酸素濃度を高めます。
  • 利尿薬:肺の中に溜まった水分を体外へ排出し、呼吸を楽にします。
  • 静脈点滴(必要に応じて慎重に)
  • 状態に応じた鎮静・安楽のための薬剤

● ② 原因(多くは心臓病)に対する治療

心原性肺水腫の場合、心臓病に対する治療がとても重要です。

  • 強心薬:心臓のポンプ力をサポート
  • ACE阻害薬などの降圧薬:心臓への負担を軽くする
  • 不整脈に対する薬
  • 体重管理や塩分制限などの生活管理

● ③ 非心原性肺水腫の治療

原因に応じて、以下のような治療が行われます。

  • 肺炎に対する抗生剤・ネブライザーなど
  • 感電・溺水に対する集中治療
  • 全身管理(点滴・酸素・鎮静など)

肺水腫は一度改善しても再発のリスクが高い病態です。 退院後も、心臓病の管理や生活環境の調整がとても大切になります。


越谷どうぶつ病院での治療の特徴

  • 呼吸状態が悪い子に対する、酸素室を用いた緊急対応
  • レントゲン検査・心エコー検査・血圧検査による心臓病の評価
  • 僧帽弁閉鎖不全症をはじめとする犬の心臓病に対応
  • お薬の量や組み合わせを、その子の状態に合わせて細かく調整
  • 退院後の咳・呼吸の変化についても、再診でこまめにフォロー

「今すぐどうしたらいいかわからない」「連れてきて大丈夫か不安」など、 救急性の判断に迷う場合も、まずはお電話でご相談ください。


越谷どうぶつ病院の症例紹介

▶ 12歳・チワワ(僧帽弁閉鎖不全症に伴う肺水腫)

数日前から咳が増え、当日になって急に呼吸が苦しそうになり来院。 レントゲン検査で典型的な心原性肺水腫の所見がみられました。 酸素室管理と利尿薬・強心薬の投与により、数日の入院で呼吸状態が安定。 その後は心臓病のお薬を継続しながら、定期的な心エコー検査でフォローしています。

▶ 9歳・柴犬(肺炎に伴う非心原性肺水腫)

元気食欲低下と発熱・咳で来院。 胸部レントゲン・血液検査・エコー検査の結果、肺炎とともに非心原性肺水腫が疑われました。 酸素・利尿薬・抗生剤などの集中治療で徐々に改善し、現在は自宅療養で経過観察中です。


ご自宅でできる対処法

肺水腫が疑われる・または治療後のワンちゃんには、次のような点に気をつけてあげましょう。

  • 呼吸数を定期的にチェック(安静時で1分間に30回以下が目安)
  • 咳の回数やタイミング(夜・興奮時など)をメモする
  • 暑さ・寒さを避け、穏やかな室温を保つ
  • 激しい運動や興奮を控える
  • 体重管理(肥満は心臓の負担になります)
  • 獣医師から処方されたお薬を、決められた通りに継続する

「少し苦しそうだけど、朝まで様子を見よう」という判断は、肺水腫の場合とても危険です。 いつもと違う呼吸のときは、躊躇せずご相談ください。


予防

肺水腫そのものを直接予防することは難しいですが、 原因となる心臓病や肺疾患を早期に見つけ、適切に治療することが最大の予防につながります。

  • シニア犬は年2回の健康診断(聴診・レントゲン・心エコーなど)
  • 心雑音を指摘されたら、早めに心エコー検査を受ける
  • 肥満予防・適度な運動で心臓への負担を減らす
  • 誤嚥や誤飲を防ぐ生活環境づくり

よくある質問

Q. 肺水腫は一度良くなれば、もう安心ですか?

A. 心臓病が原因の場合、肺水腫は「再発しうる症状」です。 呼吸の変化に気をつけながら、心臓病のコントロールを続ける必要があります。

Q. 咳がある=肺水腫ですか?

A. いいえ、咳の原因は気管虚脱・気管支炎・肺炎・心臓病などさまざまです。 ただし、心臓病がある子の咳は肺水腫の前触れである可能性もあるため、注意が必要です。

Q. 自宅に酸素ハウスを用意した方がいいですか?

A. 重度の心臓病の子では有用なこともありますが、まずは現在の心臓の状態をしっかり評価したうえで検討します。 自己判断での導入ではなく、一度ご相談ください。

Q. 救急で受診するタイミングがわかりません。

A. 「いつもと違う」「明らかに苦しそうな呼吸」は救急レベルと考えてください。 迷ったときは、お電話で状態をお聞きしながら判断をお手伝いします。


まとめ

犬の肺水腫は、命に直結する呼吸の病気です。 特に心臓病を抱えているワンちゃんにとって、肺水腫は大きな山場となることも少なくありません。

一方で、早期発見・早期治療によって、救える命もたくさんあります。 「いつもと違う咳や呼吸」を感じたら、どうか我慢させず、早めにご相談ください。

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬の肺水腫の検査・治療をお考えの方は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡