【犬の分離不安】お留守番のたびに吠える・壊す・吐く…それは「わがまま」ではなく分離不安かもしれません|越谷どうぶつ病院

【犬の分離不安】お留守番のたびに吠える・壊す・吐く…それは「わがまま」ではなく分離不安かもしれません|越谷どうぶつ病院

 

目次


犬の分離不安とは?

犬の分離不安(ぶんりふあん)とは、飼い主さんや家族と離れることに強い不安や恐怖を感じてしまう状態のことです。 「ひとりでお留守番をする」「別の部屋で過ごす」など、人から離れる場面で激しく動揺し、問題行動として表れてしまうことが特徴です。

よくある誤解として、分離不安のワンちゃんを「わがまま」「甘やかしすぎの結果」と捉えてしまうことがありますが、 実際には不安やパニックに近い心の状態で、決して「悪い子」だからではありません。

犬の分離不安は、

  • 留守番中に激しく吠え続ける
  • ドアやケージを壊そうとする
  • 下痢・嘔吐・食欲不振などのストレス症状が出る

といった形であらわれ、ご家族にとっても、犬にとっても大きな負担となります。


犬の分離不安で見られる主な症状

犬の分離不安では、「飼い主さんがいない時」に特徴的な行動が見られます。 次のような様子がある場合、犬の分離不安が疑われます。

● 留守番中の行動(防犯カメラ・録画でわかることが多いです)

  • 長時間にわたり吠え続ける・遠吠えをする
  • ドア・窓・ケージを引っかく・噛む・壊そうとする
  • 部屋の中を行ったり来たり(ソワソワ落ち着きがない)
  • 自分の足やしっぽを舐め続ける・噛んでしまう
  • ハァハァと激しく呼吸する・よだれが多い

● 排泄・体調の変化

  • 普段はできるトイレが、留守番のときだけ失敗する(粗相)
  • 下痢や嘔吐をする
  • 家族がいない間は水やごはんをほとんど口にしない

● 外出前後の行動

  • 飼い主さんが出かける支度を始めるとソワソワ・落ち着きがなくなる
  • 飼い主さんのあとを常に追いかけてくる(ストーカーのようにつきまとう)
  • 帰宅時に必要以上に興奮し、異常なほどの喜び方をする

これらの行動は、わざとイタズラしているのではなく、「不安」や「恐怖」からくる行動であることが分離不安のポイントです。


犬の分離不安の原因

犬の分離不安は、一つの原因だけで起こるわけではなく、「性格」「環境」「経験」など複数の要因が重なって起きると考えられています。

● ① 性格・気質

  • 飼い主さんへの依存度が高い子
  • 警戒心が強い・不安になりやすい性格
  • 子犬の頃から「ひとりで過ごす練習」をしてこなかった

● ② 環境の変化

  • 引っ越し・家族構成の変化(出産・子どもの独立など)
  • 保護犬として新しい家に来た直後
  • 長期休暇後(ずっと一緒にいる生活から急に留守番が増える)

● ③ 飼い主さんとの関わり方

  • 常にべったり一緒にいる生活で、「離れる」経験がほとんどない
  • 不安で鳴いたときに、すぐに抱き上げたり相手をしてしまう
  • 留守番のたびに叱られる経験が積み重なっている

「甘やかしたから分離不安になる」という単純な話ではなく、 その子が持って生まれた気質と、暮らしの中での経験が組み合わさって起こる心の病気と考えてあげると分かりやすいです。


動物病院に行くべき目安

次のような場合は、一度動物病院で相談されることをおすすめします。

  • 留守番のたびに長時間吠え続ける(ご近所トラブルも心配な場合)
  • 留守中にドアやケージを壊そうとしてケガをする
  • お留守番前後に下痢・嘔吐・食欲不振などの体調不良が出る
  • 自分の体(足・しっぽ)を舐め壊す・噛む
  • トレーナーさんの指導を試しても改善が乏しい
  • ご家族が精神的にとてもつらく、日常生活に支障が出ている

行動の問題に見えても、甲状腺の異常や痛み・認知機能の低下などの身体疾患が隠れていることもあります。 そのため、まずは動物病院で身体のチェックを行うことが大切です。


犬の分離不安の治療法

犬の分離不安の治療は、「行動療法(トレーニング)」を基本に、必要に応じて「環境調整」「お薬・サプリメント」を組み合わせて行います。

● ① 行動療法(お留守番トレーニング)

少しずつ「ひとりでいること」に慣らしていく方法です。

  • ご家族が家の中にいても、あえて別の部屋で過ごす時間をつくる
  • 数秒〜数分の「短いお留守番」から始めて、少しずつ時間を伸ばす
  • 出かけるときの「合図」(鍵・バッグ・靴など)に慣らす
  • 「帰宅=大騒ぎ」にならないよう、帰宅時は落ち着いて接する

● ② 環境調整

  • クレートやケージを「安心できる巣穴」のような場所にしてあげる
  • 音(TV・ラジオ・環境音)を利用して、外の物音を和らげる
  • おもちゃや知育トイ・長持ちするガムなど、「ひとりで楽しめるもの」を用意する
  • 留守番前に適度な運動・遊びをして、心身をほぐしておく

● ③ お薬・サプリメントなどのサポート

重度の犬の分離不安や、行動療法だけではどうしても不安が強い場合には、 抗不安薬・行動修正を助けるお薬・サプリメント・フェロモン製剤などを併用することもあります。

ただし、お薬はあくまで「トレーニングを進めやすくするためのサポート」であり、 飲めばすぐ治る魔法の薬ではないことを丁寧にお伝えするようにしています。


越谷どうぶつ病院での治療の特徴

  • まずは身体のチェック(痛み・ホルモン異常・認知機能低下などの除外)
  • 飼い主さんのお話をじっくりお聞きし、「いつ・どの場面で・どれくらい困っているか」を整理
  • ご家庭のライフスタイルに合わせた現実的なトレーニングプランをご提案
  • 必要に応じて専門トレーナーさん・行動診療専門医との連携も検討
  • サプリメントやフェロモン製剤、体質や心を整える漢方などのご相談にも対応

「完璧に治さなければ」ではなく、「ワンちゃんとご家族が少しでも楽に、安心して生活できるようになること」をゴールとして一緒に考えます。


越谷どうぶつ病院の症例紹介

▶ 2歳・小型犬(一人暮らしの飼い主さん宅の分離不安)

お留守番中の吠え声について、近隣からの指摘があり来院。 留守番カメラで確認したところ、外出直後から30分以上吠え続け、その後も落ち着きなく歩き回る様子が見られました。 身体検査と血液検査では問題がなかったため、犬の分離不安と考え、 短時間のお留守番トレーニング・環境調整・フェロモン製剤とサプリメントを併用。 数週間〜数ヶ月かけて、吠えの時間が徐々に短くなり、今では近隣からの苦情もなくなりました。

▶ 7歳・保護犬(保護施設から迎えたばかりの中型犬)

家族が外出すると玄関ドアを激しく引っかき、爪から出血してしまうとのことで受診。 保護される前の生活歴がわからず、強い不安が背景にあると考えられました。 まずは外出時間を極力短くしてもらいながら、安全なスペース作り・クレートトレーニングを開始。 同時に、不安を緩和するお薬を一時的に使用し、外出してもパニックにならない「小さな成功体験」を積み重ねていきました。 半年ほどかけて、今では数時間のお留守番ができるようになっています。


ご自宅での対処法(お留守番トレーニング)

ご家庭でできる犬の分離不安ケアのポイントをいくつかご紹介します。

  • 「外出の合図」を特別なものにしない
    鍵・バッグ・コートなど、外出前の動きを小分けにして日常的に行い、合図への過剰な反応を減らしていきます。
  • 短いお留守番から始めて、少しずつ時間を延ばす
    最初は玄関に出るだけ・数秒〜数分からスタートし、「必ず戻ってくる」という経験を積ませてあげましょう。
  • 帰宅時は大騒ぎしない
    帰宅直後はあえて数十秒〜数分は静かにし、犬が少し落ち着いてから優しく声をかけるようにします。
  • お留守番のときだけもらえる「特別なお楽しみ」を用意する
    知育トイ・コング・長く噛めるガムなど、「ひとりで夢中になれる時間」を作ってあげると、お留守番への印象が変わりやすくなります。
  • 叱らない
    帰宅時に壊れている・粗相があるとショックですが、分離不安の子を叱っても、さらに不安が強くなるだけです。 片付けは犬のいないところで、淡々と行いましょう。

「明日からいきなり完璧なお留守番」を目指すのではなく、 「今日は昨日より少し落ち着いていられたね」という小さな変化を一緒に喜びながら進めていくことが大切です。


犬の分離不安の予防

特に子犬期・若い頃から、次のような習慣をつけておくことで、犬の分離不安の予防や軽減につながるといわれています。

  • 家の中でも「ひとりの時間」を作る
    いつもべったりではなく、あえて別の部屋で過ごす・クレートで休むなどの時間を設ける。
  • 短い留守番を小さな頃から経験させる
  • 生活リズムをできるだけ一定に保つ
  • 運動・遊び・知育トイで、心身のエネルギーを適度に発散させる

すでに分離不安の傾向がある子でも、今日からできることはたくさんあります。 気になるサインがあれば、早めにご相談ください。


よくある質問

Q. 犬の分離不安は「甘やかしたせい」ですか?

A. 一概にそうとは言えません。気質・過去の経験・環境の変化など、さまざまな要因が重なって起こると考えられています。 「甘えん坊」だから悪いのではなく、「不安になりやすい子のサイン」と受け止めてあげることが大切です。

Q. 分離不安は治りますか?

A. 個体差はありますが、行動療法と環境調整を続けることで、かなり楽になるケースも多くあります。 完全にゼロにすることが難しくても、「生活に大きな支障が出ないレベル」まで軽減を目指すことができます。

Q. クレート(ハウス)トレーニングは必要ですか?

A. クレートが「閉じ込める場所」ではなく、「安心して休める自分のお部屋」として使えるようになると、 留守番時の安全確保や不安軽減にとても役立ちます。 ただし、嫌がる子をいきなり長時間閉じ込めるのではなく、少しずつ慣らしていくことが重要です。

Q. お薬に頼るのは抵抗があります…

A. お薬は「ずっと飲み続けるためのもの」ではなく、「トレーニングを進めやすくするための補助輪」として使うこともできます。 必要性やメリット・デメリットを一緒に整理し、ご家族のお気持ちも伺いながら判断していきますので、ご不安な点は遠慮なくご相談ください。


まとめ

犬の分離不安は、飼い主さんと離れることに強い不安を感じてしまう心の病気です。 決して「わがまま」「悪い子」だからではありません。

吠え・破壊行動・粗相など、目に見える行動の裏側には、「ひとりになるのがこわい」という気持ちが隠れています。 一頭で悩まず、どうか私たち獣医師や専門家も一緒に、その不安を少しずつ和らげるお手伝いをさせてください。

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬の分離不安の相談・治療・お留守番トレーニングをお考えの方は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡