猫が吐いてるときに考えられる原因は?【越谷どうぶつ病院】

猫は人間や犬と比べて吐きやすい動物で、正常でも毛玉や猫草などを吐くことがあります。

猫が気持ちが悪い時は、吐きが見られなくても、よだれが出たり、口をぺちゃぺちゃする様子が見られます。

様子を見ても大丈夫な場合と動物病院へ受診すべき場合について解説します。

【嘔吐と吐出について】

 

『吐く』という動作は“吐出”と“嘔吐”に分けられます。

吐出を嘔吐では問題となる部位がことなるため、この二つを分けて考えることにより猫ちゃんのどの部位に病気があるかを予想することができます。

 

“吐出”は食道内にあるものが胃に入る前に吐き出されることであり、食後5~15分程度の短い時間で起こる吐きのことを言います。

猫はもともと食道の動きが遅く、薬を内服した後、水を飲ませない場合、30分以上の食道に薬が残っていたという実験データもあります。

がつがつと勢いよく食餌をすると食道に入る速度に比べ、食道から胃へ通過する速度が遅いため、食道内に一時的に停滞し、フードを未消化のまま吐き出す場合があります。

ゆっくりと食餌をとらせる工夫をすると吐きが治まる場合はこのケースが考えられます。

なお、液体や流動上のフードでは吐かないが、固形物を与えると毎回吐出する場合は食道内にトラブルがある可能性が高いので動物病院へ受診し検査を受けましょう。

食道の病気には、食道炎、食道狭窄、食道内異物、腫瘍などがあります。

一般的にはバリウムを飲ませたレントゲン検査や内視鏡検査を行い、診断します。

 

一方で食後30分以上たってから起こる吐きを“嘔吐”と呼び、胃や腸の疾患を疑います。

もともと毛繕いをした被毛を毛玉として吐き出す猫もいますが、普段毛玉をはかない猫が急に毛玉を吐くようになった場合は、何らかの疾患の可能性があります。

また犬と比べ、空腹時に吐くことはあまりないので、吐く頻度が増えた場合は動物病院へ受診しましょう。

以下の症状が見られる場合も受診すべきです。

 

・一日に何度も吐く

・連日吐いている

・吐いて下痢している

・吐いていて食欲がない

・もともと吐くことがあったが吐く頻度が増えた

・飲水量が多く時々吐く

・異物を誤食した

 

 

【嘔吐を起こす疾患】

胃腸炎

胃や腸に炎症が起こり、嘔吐や下痢が見られます。食欲がなくなり発熱することもあります。

ウイルスや細菌、寄生虫などの感染症や薬剤や食物による過敏反応により起こることがあります。

 

異物誤食

猫はおもちゃやビニール、タオルやカーテンなどを噛みちぎって飲み込んでしまう場合があります。

飲み込んで1時間以内であれば吐かせる処置により異物を回収できる可能性があります。

先のとがったものは危険ですので吐かせず、内視鏡や手術で回収すべきです。

異物によっては全く無症状で経過を過ごす場合もありますが、腸閉塞を起こすと様子が激変します。

一般的に嘔吐を繰り返し、ぐったりした様子が見られ、食欲がなくなります。

小さなもので胃内にあれば内視鏡での摘出が可能です。

胃と食道の境目にある噴門部通過できないような大きな異物や食道を傷つける可能性のある先鋭なもの、胃より先に進んで小腸に閉塞している異物は手術により摘出します。

 

 

 

膵炎

膵臓という消化器に炎症が起こる疾患で、下痢や嘔吐、食欲不振、腹部痛が見られます。

猫の場合、食欲不振しか症状が見られない場合もあり、症状のみでは診断が不可能な病気です。

一般的に血液検査や腹部超音波検査にて診断します。

治療は支持療法が主体となります。犬の膵炎治療薬が猫にも有効との報告もあります。

膵臓が周辺臓器の肝臓や十二指腸に波及し重症化することがあります。

血栓が形成され多臓器不全を起こし、命に関わる場合もあります。

 

腫瘍(癌)

消化管にできる腫瘍により吐きや下痢が見られます。

腫瘍からの出血が、吐血や黒色タール様の便となって見られる場合もあります。

発症初期は徐々に食欲がなくなり痩せてくる場合多いです。その後慢性的な下痢や嘔吐が始まります。

診断は触診で腹腔内にしこりが触知され、診断につながるケースもあれば、麻酔下で内視鏡検査を行い、腸粘膜を採材し、初めて診断がつく場合もあります。

治療は腫瘍の種類にもよりますが、手術や抗がん剤治療が一般的です。

 

 

炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患(IBD)は自己免疫が関与した腸炎です。

癌との鑑別が難しく、診断には麻酔下での内視鏡検査が必要となります。

治療にはステロイド剤や免疫用製剤が使用されます。

食餌も消化器系低脂肪食や低アレルゲンフードが推奨されています。

治療が奏功し良好な予後が過ごせる場合もあれば、治療の反応が悪く、命に関わる場合もあります。

 

他にも猫ちゃんが吐く原因はまだまだあります。越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、猫ちゃんの吐きでお困りの際は当院へご相談ください。

 

越谷どうぶつ病院

院長 岩岡