犬が吐いてしまったときの対処法、原因について解説 【越谷どうぶつ病院】
犬の嘔吐は下痢に次いで多い病気です。
犬が吐いてしまったときどんな原因が考えられるか、またその時の対処法について解説します。
何を与えたときに吐いたか、誤食の心当たりはないかなどは重要な情報となりますので、病院へ受診する際はそれらが分かるようにしておきましょう。
また吐いた後に食餌を与えるべきかは、原因により異なります。
検査によっては空腹時でなければ正確に判断できないものもありますので、動物病院に電話して確認するか、空腹状態で受診しましょう。
【犬が吐いているときに考えられる原因】
・空腹時嘔吐
健康な犬でも空腹時に吐くことがあります。
主に夜中から朝方にかけて吐くことが多く、吐いた後は食欲もあり、元気もあるのが特徴です。
吐物は黄色い胃液と白い泡(唾液)などです。
食が細い子や好き嫌いが激しく、おやつもしくはトッピングのみ食べるがフードは食べない子に多く見られます。
過剰に分泌された胃酸が食餌により十分に中和されず、多くは朝方に嘔吐します。
胃酸を抑える薬を内服すれば嘔吐が治まることが多いですが、根本的な解決には食生活を正す必要があります。
つまりおやつが食餌の主体になっている子はおやつを控え、しっかりと栄養のある総合栄養食を食べるようにしていくことです。
また夜間の空腹時間が長いと分泌された胃酸が余ってしまい、朝方吐いてしまうため、1日の食餌を分割し(例えば1日2回から3回など)、夜遅めにフードを与えることにより、夜から朝にかけての空腹時間を短くすることも有効です。
・胃腸炎
様々な原因により胃や腸に炎症が起こり吐きます。
食欲や元気がなくなり、下痢を伴うこともあります。
トリミング、ペットホテル、旅行などのストレスや疲労に起因するものや、誤食、散歩中の拾い食い、半生の手作り食、食べ慣れないおやつの給餌など食餌が起因するものもあります。
細菌、ウイルス、寄生虫などの感染症によっても引き起こされます。多くは一時的で病院での注射や点滴、内服薬の投与により数日~1週間程度で回復します。
・異物誤食
誤食した異物が通過障害をきたし嘔吐します。
好奇心旺盛な若い子に多く見られます。
おもちゃや家具、壁紙、ペットシーツ、靴下、おかしの袋、人間の薬など様々なものを誤食します。
誤食をする子は繰り返すことが多いため注意が必要です。
誤食して30分から1時間程度であれば吐かせる処置をすることにより誤食物を回収できる可能性があります。
しかし先のとがったものは吐かせると胃や食道をかえって傷つけてしまうこともあるため、注意が必要です。
異物が胃の中にあるうちは内視鏡で回収可能ですが、大きいものや尖ったものは胃と食道の境界を裂いてしまう恐れがあるため、手術で摘出したほうが安全な場合もあります。
腸閉塞を起こしている場合は直ちに手術で閉塞物を摘出すべきです。
異物の有無を確認するためにはレントゲン検査や超音波検査、バリウム検査が必要となります。
・膵炎
タンパク質を分解する消化酵素を分泌する膵臓に炎症が起きた状態を膵炎と呼びます。
膵炎が起こるとタンパク質分解酵素が過剰に分泌され、その分泌された酵素により膵臓やその周辺の臓器がさらに障害され、炎症が悪化します。
血栓が形成され、各臓器の血管に塞栓すると多臓器不全を引き起こし、命に関わります。
食欲不振、元気消失、嘔吐や下痢、腹部痛などの症状が見られます。治療は嘔吐や下痢の支持療法のほかに膵炎治療薬を用います。
膵臓近くの臓器に炎症が波及し、肝炎、胆管肝炎、十二指腸炎なども併発することがあります。
また膵臓からはインスリンやグルカゴンなどの血糖値を管理するホルモンを放出しているため、膵炎が発症するとそれらのホルモンを放出している細胞が障害され、糖尿病を併発することもあります。
・腫瘍
胃がんや腸腺癌、消化器型リンパ腫などの腫瘍により慢性的な嘔吐や下痢が見られます。
嘔吐や下痢に先立って痩せてくることが多くあります。次第に吐く頻度や下痢をすることが多くなってきます。
血液検査やレントゲン検査、超音波検査により診断します。
他の疾患との鑑別のために麻酔下での内視鏡検査が診断に必要となる場合もあります。
まとめ
犬は健康な子でも空腹時に吐いてしまうことがあります。
原因となる病気で考えられるものは胃腸炎、膵炎、腫瘍、その他の代謝性疾患などがあります。
誤食の場合はいつどのようなものを食べてしまったか分かるようにしましょう。
以上が犬に比較的よく見られる吐きの原因です。
このほかにも食物不耐性やアレルギー、薬剤反応性嘔吐など吐く原因はまだあります。
越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬が吐いてお困りの方は当院へお越しください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡