猫の下痢、血便について解説【越谷どうぶつ病院】

猫ちゃんの下痢や血便について、考えられる原因や対処法について解説します。

下記の症状が見られた場合は動物病院へ連絡し、便を持参して受診しましょう。

【受診すべき症状】

・子猫が下痢をしている

・柔らかい便が続いている

・便は普通だが、赤い血が付く

・下痢と嘔吐をしている

・下痢をしていて元気、食欲がない

 

【子猫~幼少期に多い下痢の原因】

感染性胃腸炎

仔猫は感染症により下痢をすることがよくあります。

細菌やウイルス、寄生虫による感染により下痢や血便をします。

子猫が食欲がない場合は低血糖になる恐れがあるので、ちゅーるや砂糖水などを舐めさせて早めに動物病院へ受診しましょう。

 

 

1.寄生虫感染

コクシジウム、回虫、トリコモナス、ジアルジアなどの寄生虫の感染により軟便~下痢が見られます。

悪化すると吐きや食欲不振、元気消失もみられることがあります。

感染が重度となると寄生虫が消化管を穿孔し死亡する場合もあります。

一部の寄生虫は人間にも感染することがありますので、糞便の取り扱いには注意が必要です。

トイレを掃除する際はゴム手袋な着用し、終わったら手をよく洗いましょう。

一般的には糞便検査により虫卵や虫体の有無を観察し診断しますが、見つけにくい場合もあり、PCR検査をして初めて診断される場合もあります。

駆虫薬の投与により治療します。

 

2.細菌感染

カンピロバクター菌やクロストリジウム菌の感染により下痢や血便が見られます。

寄生虫やウイルス感染など他の原因により腸内細菌が乱れ、これらの細菌が増殖することもあります。

半生の手作り食から感染する場合もあります。

こちらも糞便検査により診断しますので受診される際は便を持参しましょう。

抗生物質の投与により治療します。

 

3.ウイルス感染

パルボウイルスやコロナウイルスの感染により腸炎が起こり下痢や血便をします。

特にパルボウイルスは感染力や病原性が強く、子猫が感染するとひどい下痢や嘔吐が見られます。

発熱や食欲不振も見られます

血液検査において貧血や白血球の減少がみられ、診断の手掛かりとなります。

猫コロナウイルスは自然界では多くの猫が保有していると言われています。

その中の一部の猫で腸炎が見られます。

自宅に来た当初から軟便が見られたり、便に血が付く場合はコロナウイルス腸炎の可能性がありますので動物病院へ受診しましょう。

ウイルスは細菌や寄生虫より小さく、通常の糞便検査では検出できないため、一般的にはPCR検査が必要となります。

こちらも糞便が必要な検査となりますので、受診される際は便をご持参ください。

 

・アレルギー性腸炎・食物不耐性

食物アレルギーと食物不耐性はいづれも食物に反応して引き起こされる有害反応ですが、そのメカニズムが異なります。

食物不耐性は特定の食品を消化する能力がないために下痢などが起きる現象です。

たとえば乳糖やグルテンの不耐性が有名です。

一方、食物アレルギーは摂取された食品に対して過剰な免疫反応が起こり、下痢や嘔吐が引き起こされます。

体の痒みなども見られることがあります。

どちらも食餌が原因となっているため、消化器系のフードやアレルギー用のフードを与えてみると症状が改善します。

原因となる食材を特定するのはなかなか難しいため、動物病院へ相談することをお勧めします。

 

【シニア期に多い下痢の原因】

 

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は甲状腺からホルモンが過剰に分泌される病気です。

食欲はあるが痩せてくることが特徴で、軟便や下痢が見られることがあります。

一見、元気で食欲があるため、初期には気づきにくい病気です。

甲状腺機能亢進症では血圧が高くなるため、進行すると腎臓病や心臓病に発展するおそれがあります。

血液検査により甲状腺ホルモンを測定することにより診断します

治療は甲状腺ホルモンを抑える薬を内服します。

 

消化管腫瘍

胃や腸に出来た腫瘍が原因で下痢や血便、吐きなどが見られます。

腫瘍の発生部位によりどちらか一方の症状のみが見られる場合もあります。

一般的には少しずつ痩せてきて次第に軟便や下痢がみられるようになります。

高齢の猫で、もともと下痢をしなかった子が2週間以上軟便や下痢、血便が続く場合は注意が必要です。

血液検査やレントゲン検査、超音波検査などでほかの病気と鑑別していきます。

最終的に麻酔下での内視鏡検査が必要となる場合もあります。

 

 

【まとめ】

下痢や血便、嘔吐がある場合は便を持参し、動物病院へ受診しましょう。

仔猫や若い猫では感染症による下痢が多く見られます。

子猫の場合は体力もないため下痢がひどい場合や食欲がない場合は命に関わることもあるため注意が必要です。

ぐに連れていくべきか判断に迷うときは動物病院へ相談しましょう。

 

一方、シニアの猫に多い下痢の原因にはホルモン疾患や腫瘍などが挙げられます。

初期には気づきにくい疾患ですが、毎年健診を受け、できるだけ早めに気付けると猫負担を減らすことが出来ます。

できれば年2~3回の検診をおすすめします。

 

 

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、猫ちゃんが下痢や血便でお困りの際は当院へお越しください。

 

越谷どうぶつ病院

院長 岩岡