犬・猫の避妊・去勢手術について【越谷どうぶつ病院】
犬猫の避妊・去勢手術についてメリットやデメリット、当院での手術の流れについて説明します。
避妊・去勢手術は犬、猫の飼い主様の誰もが最初に通る道で、多くの犬や猫にとっては最初で最後の手術です。
そのため飼い主様にとっては手術を受けさせるべきかどうか非常に悩まれることかと思います。
どちらの選択が絶対に正しいと決まっている問題ではないため、十分に考え、納得した上で手術を受けることをお勧めします。
手術を受けるべきかどうか
個人的には“受けるべき”と考えています。
私たち人間は犬猫の繁殖欲求を十分に満たしてあげることが出来ません。
犬や猫は本能に従い、マーキング(家のあちらこちらでおしっこをする)やマウンティング(腰振り動作)を行います。
また発情した雄は雌の匂いを察知すると吠え続けたり、失踪したりすることがあり、近所迷惑や交通事故などのトラブルの引き金になることがあります。
犬や猫はそれらを行うたびに飼い主様から注意されることになります。
犬や猫に悪気はありませんが、本能に従い、衝動的に行ってしまう行為なので自分では止めることができません。
満たされない欲求を抱えながら、衝動に突き動かされ、不本意ながらも飼い主様に落胆されてしまうことは、ペットにとって幸せな状態とは言い難いと思います。
また我々獣医師や動物病院に勤務しているスタッフは手術を受けないとこうなってしまうのか、という事例を度々見ています。
何千、何万という避妊・去勢手術を受けた犬・猫、受けていない犬・猫を見たうえで、その後の犬猫たちの健康度合や飼い主様とペットとの関係性を考慮すると避妊・去勢手術は受けるべきと感じます。
また動物病院スタッフのほとんどの方が避妊・去勢手術を受けるべきと感じており、自分のペットには手術を受けさせています。
避妊・去勢手術のメリット・デメリット
雄の犬・猫の精巣を摘出する手術を去勢手術と言います。
去勢手術のメリット・デメリットは以下の通りです。
また雌の犬・猫の卵巣・子宮を摘出する手術を避妊手術と言います。
避妊手術のメリット・デメリットは以下の通りです。
避妊・手術の適齢期について
避妊・去勢手術の適齢は生後約半年(6カ月齢)です。
雌の避妊手術に関しては発情が来る前後で将来的な乳腺腫瘍の発生率が変わってくるため、できれば初回発情前に手術を受けることをお勧めします。
雌の犬・猫の初回発情は8カ月齢~1歳ごろに見られます。
なお猫は交尾排卵動物のため発情後の生理出血は見られません。
まだ乳歯が多数残っている場合や停留睾丸(精巣が陰嚢に降りていない状態)の場合は1~2か月様子を見てから手術を行う場合もあります。
避妊・去勢手術の流れ
当院で行う避妊・去勢手術の流れは以下の通りです。
1.手術の予約
お電話もしくは来院時に手術の予約をします。
去勢手術(男の子)は原則的に日帰り手術となります。避妊手術(女の子)は一泊入院し、手術の次の日にお迎えに来ていただきます。
2.術前検査
全身麻酔のリスクを評価するため、手術当日から2週間前までの間に一度ご来院頂き、身体検査と血液検査、胸部レントゲン検査を行います。検査結果をご説明し、手術当日の注意事項をお伝えします。
3.手術当日
午前10時頃ご来院頂き、当日の体調をチェックし、問題が無ければ動物をお預かりします。飼い主様には同意書をよくお読みいただきサインを頂いた後、一旦お帰り頂きます。
12:00~15:00の間で手術を行います。手術が終わり麻酔から覚めたら飼い主様へご報告のお電話をします。去勢手術(男の子)では15時以降の退院、避妊手術(女の子)では次の日の退院となります。
4.傷のチェック、抜糸
手術から2~3日後に傷のチェックのため一度ご来院頂きます。
男の子では7~10日後、女の子では10~14日後に抜糸となります。猫の去勢手術(男の子)では抜糸は必要ありません。
避妊・去勢手術を受けなかった場合に起こる得る病気
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は子宮内に感染が起こり、膿が溜まってしまう病気です。
6歳以降の未避妊の雌に多く、特に生理後3カ月以内に起こりやすい病気です。
子宮蓄膿症になると以下の症状が見られます。
・陰部からおりもの(血膿)が出る
・水をよく飲むようになる
・元気・食欲がなくなる
・発熱
・下痢、嘔吐など
治療が遅れると命に関わる場合があるため注意が必要です。生理が終わった1~3か月後にまた陰部からおりものが出る場合は直ぐに動物病院へ受診しましょう。
子宮蓄膿症の治療は手術による卵巣と子宮の摘出です。膿の貯留が多いと子宮に穴が開いて腹腔内(おなかの中)に膿が漏れ出しているケーズもあります。
無事、手術が終われば根治可能な病気ですが、合併症として貧血や腎不全が起こる場合があります。
子宮蓄膿症の詳しい情報はこちら
乳腺腫瘍
未避妊の雌犬の約25%に発生すると言われています。
犬では乳腺にできる腫瘍のうち良性が50%、悪性(癌)が50%です。
猫の乳腺腫瘍は90%以上が悪性(癌)です。
犬・猫は乳腺が4~5対あるため、一度手術で腫瘍を切除しても乳腺組織を全て取り切らない限り、再発する可能性があります。
乳腺腫瘍について詳しい情報はこちら
会陰ヘルニア
中高齢の未去勢の雄犬に見られる病気です。
肛門周囲の筋肉の間に間隙(ヘルニア孔)ができ、そこに腸や膀胱が入り込んでしまう病気で、排便や排尿が出来なくなります。
治療はヘルニア孔を縫うかメッシュを入れて閉じる手術を行いますが、縫った筋肉も薄いため再発もしやすい病気です。
去勢をしておくことが一番ですが、会陰ヘルニアになってしまった場合は、ヘルニア孔がまだ小さいうちに手術をした方が負担が少なく、再発もしにくいため、手術を迷われている方は早めに当院へご相談ください。
まとめ
ペットの交配を望まない場合は避妊・去勢手術を受けさせましょう。
避妊・去勢のメリットには発情によるストレスがなくなること、生殖器疾患にかからなくなることがあります。デメリットは太りやすくなります。
受ける時期は6カ月齢が適切です。女のコの場合は初回発情前が一番メリットも大きく、負担も少なくなります。
越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬・猫の避妊・去勢手術をお考えの方は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡