犬の膿皮症について【越谷どうぶつ病院】

犬の膿皮症は痒みのある犬の皮膚病でもっともよくみられる疾患です。

体に常在しているブドウ球菌という菌が皮膚に入り込み、赤いポツポツや黄色いかさぶたのようなものが見られ、舐めたり、足で掻いたりする症状が見られます。

ブドウ球菌は常在菌であり、何らかの理由により皮膚のバリア機能が低下し、感染が起こった場合膿皮症となります。

もし生まれつき皮膚のバリア機能が弱い場合は膿皮症を治療しても再発を繰り返してしまうことがよくあります。

バリア機能を低下させる要因として多いものは、アレルギー疾患やホルモン疾患、栄養の偏った食事などが挙げられます。

 

 

膿皮症の症状

 

・赤い発疹がみられる

・ニキビのような丘疹がみられる

・黄色いフケのようなものが付着する

・痒がる

・毛が抜ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

膿皮症の原因

 

体表に常在するブドウ球菌という細菌が皮膚に感染を起こすと膿皮症となります。

通常皮膚にはバリア機能があり、菌が存在していても入り込めないようになっているため、感染は起きません。

犬の膿皮症の原因で多いのが、アレルギー性皮膚炎クッシング症候群甲状腺機能低下症などのホルモン疾患です。これらの疾患が根底にあることにより、バリア機能が低下し、感染が起こり、膿皮症が発症します。

 

 

膿皮症の治療

 

膿皮症の治療は、局所的であれば消毒薬による清拭、全身性の場合は薬用シャンプーや抗生物質が使われます。

抗生物質の内服は耐性菌を発生させてしまうこともあるため、注意が必要です。

 

当院での治療の流れ

10年ほど前まで犬の膿皮症では抗生剤が処方され、お薬を内服することで治療することが一般的でした。

しかし2014年に膿皮症の治療ガイドラインが改定され、膿皮症の治療は外用薬(シャンプーや消毒薬)で治療しましょうという流れに変わっています。

外用薬には内服の抗生剤と比べ以下のメリットがあります。

当院では膿皮症治療のガイドラインに基づいて基本的には外用薬やシャンプーによる治療を推奨します。

 

それらの治療が飼い主様の負担にならないよう相談しながら治療方針を決めていきます。

 

1.外用薬

クロルヘキシジン(消毒薬)による消毒

 

2.抗菌シャンプーによる洗浄(ノルバサンサージカルスクラブなど)

週2回(症状改善まで)→ 週1回(症状消失後)→ 2週に1回(予防として)

 

3.抗生物質の内服

上記の1.2の治療を2~4週行っても改善がない場合に行います。

2~4週間内服しても改善が乏しい場合は細菌培養・薬剤感受性試験を実施し内服薬を変更します。

膿皮症が治療されても痒みが続く場合はアレルギー性皮膚炎など他の疾患を疑い治療します。

 

薬浴治療のすすめ

当院ではスキンケアの知識を持つスタッフが飼い主様に代わりシャンプーをする薬浴治療を行っております。

治療として行うシャンプーには適切な洗い方が必要となり、それには時間と手間がかかります。

適切な洗い方ができてない場合は思ったほど効果が表れず、治療がうまくいきません。

また正しいやり方を身につけるには知識と経験が必要です。

薬に頼らずに膿皮症を治療したい方にはおすすめの治療法です。

薬浴治療にご興味のある方は当院までご相談ください。

 

 

 

 

膿皮症が治らない場合

 

膿皮症が治らない、もしくは繰り返してしまう場合は根底に別の原因がある可能性があります。

膿皮症を繰り返す要因として一番多いのが、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎です。

(アトピー性皮膚炎・食物アレルギーに関してはこちら)

犬のアトピー性皮膚炎・食物アレルギーについて【越谷どうぶつ病院】

 

この場合、膿皮症が治ってもアトピーやアレルギーに対する治療が十分でなければ、またすぐに膿皮症が再発してしまいます。

ご自宅で消毒や薬用シャンプーをしているが膿皮症が完治しない場合は当院へご相談ください。

また膿皮症が治らない原因として薬剤耐性菌の感染が挙げられます。

膿皮症の原因30~40%が抗生剤に耐性を持つブドウ球菌であるという報告があります。

これらの菌により起こる膿皮症は抗生物質の内服では治りにくく、なかなか完治しません。

一度、どの菌がいて、どの薬が有効か検査をする必要があります。

これを細菌培養・薬剤感受性試験と言います。

 

 

また中年齢以降で膿皮症になり、治療すると治るが、また再発する場合は、ホルモン疾患が関係している場合があります。

ホルモン疾患があると免疫力が低下し、感染が起きやすくなります。

膿皮症のほかにも膀胱炎や、外耳炎、未避妊の雌では子宮蓄膿症などになりやすくなります。

 

 

膿皮症を起こしやすくするホルモン疾患

 

クッシング症候群

 

クッシング症候群は副腎という臓器からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。

クッシング症候群になると以下の症状が見られます。

 

・脱毛

・多飲・多尿

・食欲亢進

・筋力低下(痩せてきてお腹だけぽっこり出る)

・皮膚の石灰化

 

クッシング症候群になると糖尿病、肝疾患、心臓病、関節疾患、感染性皮膚疾患(膿皮症も含む)になりやすくなります。

また筋力が低下する為、足腰が弱くなったり、膝の靭帯(前十字靭帯)が切れやすくなります。

またクッシング症候群の原因が下垂体腺腫(脳の一部が腫瘍化し、ホルモンを出すよう指令が出すぎる)だった場合、痙攣発作も起こることがあります。

 

治療には定期的な検査とホルモンを抑える薬の内服が必要となります。

 

 

甲状腺機能低下症

 

甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの産生不足による病気で、高齢の犬によく見られます。甲状腺機能低下症になると以下の症状が見られます。

 

・太りやすくなる(フードは増やしてないが体重が増えていく)

・活気がなくぼーっとする

・毛が抜ける

 

甲状腺機能低下症は一見、気が付きにくい病気ですが、放置すると免疫力が低下する為、感染性皮膚疾患(膿皮症も含む)、糖尿病、肝疾患、心臓病、関節疾患などを悪化させる要因となります。

 

高齢の犬に多い病気ですので定期的な健診により早期に発見できると理想です。

治療は定期的な検査とホルモンを補充する内服薬の投与です。

当院ではアンチエイジングに有効なオゾン療法も行っています。

ご興味のある方はご相談ください。

オゾン療法行なっております♪

 

 

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬の膿皮症でお困りの方は当院へご相談ください。

 

越谷どうぶつ病院

院長 岩岡