犬のワクチン接種の重要性と正しい知識【越谷どうぶつ病院】
ペットの健康管理において、ワクチン接種は欠かせない要素の一つです。
この記事では、ワクチン接種の必要性、代表的なワクチン、そして正しい接種スケジュールについてご紹介します。
なぜワクチン接種が必要か
犬のワクチンは、感染力の強いウイルスや細菌によって引き起こされる病気から守るために非常に重要です。これらの病気の多くは治療が難しく、最悪の場合、命に関わることもあります。
以下の理由から、ワクチン接種を怠らないことが大切です。
- 感染リスクの軽減:日常の散歩やドッグランで他の犬から感染する可能性があります。
- 集団免疫の確保:多くの犬がワクチンを受けることで、地域全体の感染拡大を抑えます。
- 治療費の削減:感染後の治療は高額になることが多く、予防する方が経済的です
代表的なワクチン
当院では犬の混合ワクチンは6種と8種のワクチンを準備しています。
犬の6種・8種混合ワクチンの違いと選び方
犬用の混合ワクチンは、1回の接種で複数の感染症を予防する便利なものです。
6種・8種混合ワクチンは、日本で一般的に使用される代表的なワクチンですが、それぞれに含まれる成分が異なり、予防できる病気の種類やリスクに応じて選ぶ必要があります。
ここでは、各ワクチンに含まれる成分とその選び方について解説します。
6種混合ワクチン
6種混合ワクチンは、犬の基本的な感染症を予防するためのものです。以下の6種類の病気に対応します。
- 犬ジステンパーウイルス
- 発熱、呼吸器症状、神経症状を引き起こす病気で、重篤な場合は死亡することもあります。 - 犬パルボウイルス感染症
- 激しい嘔吐と下痢を伴い、特に子犬では致命的になることがあります。 - 犬アデノウイルス1型(感染性肝炎)
- 肝臓にダメージを与え、重篤な肝炎を引き起こします。 - 犬アデノウイルス2型(呼吸器症状)
- 犬のケンネルコフの一因で、咳や気管支炎を引き起こします。 - 犬パラインフルエンザウイルス
- 呼吸器感染を引き起こし、ケンネルコフに関連する病原体です。 - 犬コロナウイルス
腸炎を起こすウイルスで発症すると嘔吐や下痢などの症状が見られます。
8種混合ワクチン
8種混合ワクチンは、6種混合に加え、レプトスピラ症を予防する成分が追加されています。レプトスピラ症は生活環境によって感染リスクが異なるため、地域や飼い方に応じて接種が推奨されます。
追加される病気:
7. レプトスピラ症(カニコーラ型)
8. レプトスピラ症(黄疸出血型)
- レプトスピラは人獣共通感染症であり、犬から人に感染するリスクもあります。感染した犬は腎臓や肝臓に障害が出ることが多く、治療が遅れると命に関わります。
6種と8種、どちらを選ぶべき?
- 6種混合ワクチンは、基本的な感染症の予防が目的で、都市部など感染リスクが低い地域で飼われている犬に適しています。
- 8種混合ワクチンは、レプトスピラ症が心配な場合に推奨されます。特に水辺や農村部での生活、散歩の際に野生動物と接触する機会が多い犬には適しています。
ワクチンによる一般的な副作用
ワクチン接種後に見られる軽度の副作用は、犬の免疫が反応している証拠でもあります。以下が一般的な副作用です。
- 注射部位の腫れやしこり
- 軽い発熱(24~48時間程度)
- 倦怠感や食欲不振
- 嘔吐や下痢(一時的)
これらの症状は通常1~2日で治まりますが、改善しない場合や症状が悪化する場合は、早めに当院へご相談ください。
ワクチン接種における一番重篤な副作用はアナフィラキシーショックです。
アナフィラキシーショックとは?
アナフィラキシーショックは、体内に異物(抗原)が急激に入った際に、免疫系が過剰反応することで起こります。
ワクチンの成分に対して免疫が誤って過剰な反応を示すと、全身に症状が現れ、呼吸困難や血圧の急低下を引き起こします。
まれな反応ですが、放置すると生命に関わります。
アナフィラキシーショックの症状
接種後30分以内~数時間以内に症状が現れることが多いです。
以下のような兆候が見られたら、すぐに対応する必要があります。
- 呼吸困難:ぜーぜーと息をする、呼吸が速く浅い
- 顔や喉の腫れ:特にまぶたや口周りが腫れる
- じんましんやかゆみ:全身に発疹が現れる
- よだれが多い、吐き気、嘔吐
- ぐったりしている、歩けない、意識がもうろうとする
- 血圧低下による失神:ショック状態に陥ることもある
これらの症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性が高いため、即座に動物病院に連絡しましょう。
先に連絡があれば動物病院側は準備をしてくことができますので、突然来院するのではなく必ず連絡をしてから向かいましょう。
副作用を軽減するためのポイント
- 体調の良いときに接種:体調が万全でない犬に接種すると、副反応が出やすくなります。
- アレルギー歴の確認:以前にワクチン接種でアレルギー反応が出たことがある場合、事前に獣医師に伝えましょう。必要であれば、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の投与が行われることもあります。
接種スケジュールの基本
子犬のワクチン接種は、生後6~8週齢から始めるのが一般的です。
以下は標準的な接種スケジュールの例です。
- 6~8週齢:初回ワクチン接種(ジステンパー、パルボなど)
- 3~4週間後:追加接種(ブースター効果を高めるため)
- 生後16週齢以降:狂犬病ワクチンの接種
- その後は年1回の追加接種もしくは抗体価測定:抗体価が減少しないようにします。
犬の年齢や生活環境により、最適なスケジュールは異なります。
当院にて個別に相談しながら計画を立てましょう。
ワクチン接種の注意点
- 接種後の副反応:軽い発熱や倦怠感が見られることがありますが、通常は1~2日で改善します。異常が続く場合はすぐに獣医師に連絡しましょう。
- 免疫が完全に確立するまでの注意:初回接種後すぐに外出を控え、免疫が付くまで感染リスクの高い場所に連れて行かないようにします。
おわりに
犬の健康を守るために、ワクチン接種は非常に重要な役割を果たします。
特に子犬の頃から計画的に接種することで、病気のリスクを最小限に抑え、愛犬との楽しい生活を長く続けることができます。
定期的な健康チェックも兼ねて、動物病院での相談を忘れずに行いましょう。
越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、ワクチンの種類やスケジュールについて疑問がある場合は、ぜひ当院までご相談ください。