【犬の股関節脱臼】急に後ろ足を着かない・キャンと鳴いた…それは股関節脱臼かもしれません|越谷どうぶつ病院

【犬の股関節脱臼】急に後ろ足を着かない・キャンと鳴いた…それは股関節脱臼かもしれません|越谷どうぶつ病院

 

目次


犬の股関節脱臼とは?

犬の股関節脱臼とは、太ももの骨(大腿骨)の先端にある大腿骨頭が、本来収まっている骨盤側のくぼみ(寛骨臼)から外れてしまった状態です。 「関節がはずれた」状態であり、強い痛みや歩行困難を引き起こす整形外科の緊急疾患のひとつです。

転倒・交通事故・高いところからの落下などの外傷によって起こることが多いですが、 もともと股関節形成不全(股関節のゆるさ)がある犬では、比較的軽い衝撃でも犬の股関節脱臼が起きてしまうことがあります。


主な症状

犬が股関節脱臼を起こしたときに、よく見られる症状は次のようなものです。

  • 急に後ろ足を地面に着けなくなった(ケンケン歩きになる)
  • キャンと強く鳴いたあと、その足をかばっている
  • 後ろ足を上げたまま、ブラブラさせている
  • 触ろうとすると強く嫌がる・噛もうとするほど痛がる
  • 股関節周りを触ると関節がズレているような違和感がある
  • 足の長さが左右で違って見える
  • 歩き方が不自然、腰がフラフラしている

強い痛みがあるため、元気・食欲が一気になくなることも多く見られます。 中には、恐怖や痛みから呼吸が速くなったり、震えが出ることもあります。


原因

犬の股関節脱臼の主な原因は以下の通りです。

● ① 外傷(事故・転倒など)

  • 交通事故(車や自転車との接触・轢過)
  • ソファ・ベッド・階段などからの落下
  • ドッグランや公園での激しい衝突・転倒

強い力が股関節に加わることで、関節を支えている靭帯や関節包が損傷し、脱臼を起こします。

● ② 股関節形成不全などの基礎疾患

もともと股関節形成不全があり、股関節がゆるく不安定な犬では、 軽い段差やジャンプなどでも股関節脱臼を起こしてしまうことがあります。 特に大型犬・中型犬に多い傾向があります。

● ③ その他

  • 高所からの飛び降りを繰り返す生活習慣
  • 肥満による関節への負担増加
  • 遺伝的素因

動物病院に行くべき目安

股関節脱臼が疑われる場合は、できるだけ早く動物病院を受診するべき状況です。 次のような場合は、「様子見」ではなく受診をおすすめします。

  • 急に後ろ足を使わなくなった・片足を上げたまま歩いている
  • 強い痛みで鳴き続ける・触ると強く怒る
  • 事故・転落のあとに歩き方がおかしい
  • 後ろ足の長さや向きが左右で明らかに違う
  • しばらく休ませてもまったく改善しない

脱臼してから時間が経つほど、元の位置に戻すこと(整復)が難しくなり、手術が必要になる可能性が高くなります。 「そのうち治るかも」と様子を見ずに、お早めにご相談ください。


治療法

犬の股関節脱臼の治療は、脱臼の状態・発生からの時間・体重・他の病気の有無などをふまえて決めていきます。 大きく分けて非観血的整復(手術なしで戻す)外科手術があります。

● ① 非観血的整復(麻酔下で元に戻す方法)

脱臼から時間があまり経っておらず、骨折などを伴っていない場合には、 全身麻酔または鎮静下で股関節を元の位置に戻す(整復)ことを試みます。

  • レントゲン検査で骨折の有無・脱臼の方向を確認
  • 麻酔下で慎重に関節をはめ直す
  • 整復後に再度レントゲンで位置を確認
  • バンテージやスリング(固定)で安静を保つ

成功すれば手術をせずに済むこともありますが、再脱臼のリスクもあるため、 その子の状態に応じてメリット・デメリットをご説明したうえで選択します。

● ② 外科手術

次のような場合には、外科手術が必要になることがあります。

  • 非観血的整復がうまくいかない・すぐ外れてしまう
  • 脱臼から長期間経過している
  • 股関節形成不全が重度で、関節の安定性が確保できない
  • 骨折などの合併がある

代表的な手術には、以下のようなものがあります(症例や体格により選択が異なります)。

  • 大腿骨頭切除術(FHO):大腿骨頭を切除し、偽関節を形成することで痛みを軽減する手術
  • 関節包修復・靭帯再建など、股関節の安定性を取り戻す手術
  • 専門施設での人工股関節全置換術など(重症・大型犬など)

手術後は、リハビリや筋肉トレーニングなどを併用しながら、できるだけスムーズに歩行機能が回復するようサポートしていきます。


越谷どうぶつ病院での治療の特徴

  • レントゲン検査による股関節の状態評価(脱臼の方向・骨折の有無の確認)
  • 年齢・体格・基礎疾患をふまえた麻酔リスクの評価
  • 非観血的整復が可能かどうか、手術が必要かどうかを丁寧にご説明
  • 必要に応じて、整形外科専門病院との連携・ご紹介も実施
  • 術後のリハビリ・体重管理・生活環境のアドバイスまで一貫したフォロー

「今すぐ手術が必要なのか」「どこまで治療をするべきか」など、 ご家族の不安やご希望も伺いながら、その子にとって現実的で無理のない治療プランをご提案します。


越谷どうぶつ病院の症例紹介

▶ 3歳・小型犬(ソファからの落下による股関節脱臼)

ソファから飛び降りたあとにキャンと鳴き、その後右後肢を着かなくなったとのことで来院。 レントゲン検査で右股関節の脱臼が確認されました。 全身麻酔下で非観血的整復を行い、整復後も安定していることを確認。 一定期間の包帯による固定と安静ののち、日常生活に戻ることができました。

▶ 13歳・トイプードル(両足の股関節脱臼+股関節形成不全)

突然、歩けなくなり来院。 レントゲンで両側の股関節脱臼と、もともとの股関節形成不全が確認されました。 元々ホルモン疾患があり筋力が低下していましたが、当院にて両側の大腿骨頭切除術を実施。 術後のリハビリにより、現在は痛みなく自力で歩行できています。


ご自宅での対処法

股関節脱臼が疑われる場合、ご自宅では次の点に注意してください。

  • 無理に足を引っ張ったり、関節を戻そうとしない
  • 抱き上げるときは、痛い足を揺らさないように体全体を支える
  • できるだけ動かさず、毛布やタオルの上に寝かせて移動する
  • 段差や階段は使わず、車での移動の際も揺れを少なくする

治療後は、獣医師から指示された安静期間・リハビリの内容を守ることが大切です。 また、

  • フローリングにはマットを敷き、滑らないようにする
  • ソファ・ベッドなど、高いところへのジャンプを控える
  • 体重管理を行い、股関節への負担を減らす

といった生活環境の見直しも、再発予防に役立ちます。


予防

すべての犬の股関節脱臼を防ぐことは難しいですが、以下のような工夫でリスクを減らすことができます。

  • ソファやベッドからの飛び降り対策(ステップの設置・高さを下げるなど)
  • フローリングに滑り止めマットを敷く
  • 肥満予防・適正体重の維持
  • 股関節形成不全が疑われる犬種では、早めに股関節検査を受ける
  • 激しい運動・急な方向転換が多い遊びはほどほどに

よくある質問

Q. 犬の股関節脱臼は自然に治りますか?

A. 基本的に自然には元通りには戻りません。 時間が経つと関節周囲の組織が固まってしまい、整復が難しくなるだけでなく、慢性的な痛みや跛行が残る可能性が高くなります。

Q. レントゲンは必ず必要ですか?

A. はい。股関節脱臼かどうか、骨折がないか、脱臼の方向はどちらかを判断するために、レントゲン検査はほぼ必須です。 適切な治療法を選ぶうえで重要な検査です。

Q. 高齢犬ですが、手術は可能でしょうか?

A. 血液検査や心臓検査などで全身状態を確認したうえで、麻酔リスクと治療のメリット・デメリットを一緒に検討します。 場合によっては、痛みのコントロールを優先し、手術以外の選択肢を考えることもあります。

Q. 一度股関節脱臼になると、また再発しますか?

A. 股関節形成不全がある犬や、靭帯・関節包の損傷が大きい場合は再脱臼のリスクがあります。 治療後も、環境整備・体重管理・運動制限などを通して股関節を守っていくことが大切です。


まとめ

犬の股関節脱臼は、急な後ろ足の跛行(びっこ)や強い痛みを伴う整形外科疾患で、 特に事故や転落などのあとに突然起こることが多い病気です。

「そのうち治るかも」と様子を見てしまうと、整復が難しくなり、手術が必要になってしまうケースもあります。 犬の股関節脱臼やふらつき・跛行が気になるときは、早めに動物病院へ相談することが大切です。

越谷どうぶつ病院では、レントゲン検査による評価から、整復・手術のご相談、術後のリハビリや生活アドバイスまで、 その子とご家族に寄り添ったサポートを心がけています。

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬の股関節脱臼の検査・治療をお考えの方は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡