【犬の肥満細胞腫】ただのイボじゃないかも?早期発見したい皮膚の腫瘍|越谷どうぶつ病院

【犬の肥満細胞腫】ただのイボじゃないかも?早期発見したい皮膚の腫瘍|越谷どうぶつ病院

 

目次


犬の肥満細胞腫とは?

犬の肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)とは、皮膚や皮下に存在する「肥満細胞」という免疫細胞が腫瘍化した病変です。 皮膚にできる腫瘍の中でも頻度が高く、見た目は「イボ」「できもの」に見えても、実は悪性の腫瘍だったということも少なくありません。

肥満細胞は、アレルギー反応などに関わる細胞で、ヒスタミンなどの物質を多く含んでいます。 そのため、肥満細胞腫が刺激されると腫れたり赤くなったり、大きさが変化したりするのが特徴です。

犬の肥満細胞腫には、ゆっくり進行するタイプから、急速に大きくなりリンパ節や内臓に転移するタイプまでさまざまな悪性度があり、 「見た目だけでは良性・悪性を判断できない腫瘍」です。


主な症状

犬の肥満細胞腫でよく見られる症状・見た目の特徴は次の通りです。

● 皮膚・皮下のしこり

  • 皮膚の上または皮下にできる「コリッ」としたしこり
  • 大きさ・形はさまざまで、1つだけのことも複数のこともある
  • 丸い・平たい・硬い・やわらかいなど、見た目が多様

● 大きさや見た目の変化

  • 触ったり刺激したあとに急に腫れて大きくなる
  • 数日〜数週間で徐々に大きくなる
  • 赤くなったり、ただれたり、出血したりする

● その他の症状

  • 強くかゆがる・舐め続ける
  • 胃腸障害(嘔吐・食欲不振・黒っぽいうんちなど)
  • 全身状態の悪化(元気がない・痩せてきた)

肥満細胞腫は「触ると変化しやすい腫瘍」で、 ある日は小さく、別の日には大きく、また少し小さく…とサイズが変わることも少なくありません。 「イボっぽいけれど、なんだか変だな」と感じたら、一度検査をおすすめします。


原因

犬の肥満細胞腫のはっきりした原因はまだ解明されていませんが、 いくつかの要因が関係していると考えられています。

● ① 体質・遺伝的要因

  • ボクサー、フレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリアなど、一部の犬種で発生しやすいとされています。
  • 雑種犬や他の犬種でも発生は見られ、どの犬でも起こり得ます。

● ② 年齢

中高齢の犬でみられることが多いですが、若い犬に発生することもあります。

● ③ その他の要因

紫外線や慢性的な炎症など、さまざまな要因が関与している可能性が指摘されていますが、 現時点では「これが原因」と断定できるものはありません


動物病院に行くべき目安

次のようなしこり・できものに気づいたら、早めに動物病院での検査をおすすめします。

  • 新しくしこりができた(大きさに関係なく)
  • 短期間でしこりが大きくなってきた
  • 触ると赤くなる・腫れる・形が変わる
  • 表面がただれている・出血している
  • しこりを触ると痛がる・かゆがる
  • 多発するしこりがある(体のあちこちにポツポツ)

肥満細胞腫は、早期に発見し、適切な治療を行うことで予後が大きく変わる腫瘍です。 「見た目は小さいから大丈夫」と自己判断せず、一度細胞検査(細胞診)で確認することが大切です。


治療法

犬の肥満細胞腫の治療は、しこりの場所・大きさ・グレード(悪性度)・ステージ(進行度)などを総合的に評価して決めていきます。

● ① 手術(外科的切除)

皮膚や皮下に限局した肥満細胞腫では、腫瘍の周囲を十分なマージンを取って切除する手術が基本となります。 切除した腫瘍は病理検査に提出し、グレード(悪性度)や取り切れているかどうかを評価します。

● ② 抗がん剤・分子標的薬治療

次のような場合には、抗がん剤治療や分子標的薬を検討します。

  • 高グレード(悪性度が高い)と診断された場合
  • リンパ節や内臓(脾臓・肝臓など)への転移が疑われる場合
  • 手術で完全な切除が難しい場合
  • 再発を繰り返す場合

● ③ 放射線治療

顔まわりや四肢の先端など、十分なマージンを取った手術が難しい部位では、 大学病院や専門施設での放射線治療が選択肢になることもあります。

● ④ 補助療法

肥満細胞腫はヒスタミン等を放出するため、胃潰瘍や嘔吐などの消化器症状を伴うことがあります。 これを防ぐ目的で、

  • 胃薬(胃酸分泌抑制薬・粘膜保護薬)
  • 抗ヒスタミン薬
  • ステロイド薬

などを併用することがあります。


越谷どうぶつ病院での治療の特徴

  • 細胞診(細い針を使った検査)による、その場での腫瘍チェック
  • 必要に応じて病理検査を行い、グレードや切除状況を評価
  • レントゲン・エコー検査でリンパ節・内臓への転移の有無をチェック
  • 年齢・全身状態にあわせた麻酔・手術プランの提案
  • 手術だけでなく、抗がん剤や緩和ケアについてもご家族と相談しながら選択

「とにかく全部取ってほしい」「できるだけ負担の少ない治療をしたい」など、 ご家族のご希望も伺いながら、その子にとってベストに近い治療方針を一緒に考えていきます。


越谷どうぶつ病院の症例紹介

▶ 9歳・柴犬(体幹部の単発性肥満細胞腫)

背中に1cmほどのしこりがあるとのことで来院。 細胞診で肥満細胞腫が疑われたため、十分なマージンを確保して外科切除を実施。 病理検査で低グレードの肥満細胞腫と診断され、切除マージンも確保されていたため、 現在は定期的な経過観察のみで良好に経過しています。

▶ 11歳・小型犬(多発性肥満細胞腫)

体の数カ所にしこりがあり、うち一つが急に大きくなってきたとのことで受診。 細胞診・画像検査により肥満細胞腫と診断。 手術で主病変を切除しつつ、残った病変に対しては内服治療+経過観察を行っています。 ご家族と相談のうえ、生活の質(QOL)を大切にした治療方針で継続管理中です。


ご自宅での対処法

  • 気になるしこりを見つけたら、写真やメモで大きさ・場所を記録しておく
  • しこりを強く揉んだり、潰そうとしたりしない(急に腫れたり悪化することがあります)
  • ワンちゃんが舐め続けてしまう場合は、エリザベスカラーや服で保護する
  • 手術後は、指示された期間しっかり安静・傷口保護を行う
  • 食欲・元気・嘔吐・便(黒っぽくないか)など日々の変化をよく観察する

「前からあるイボだから大丈夫」と思っていたら、実は犬の肥満細胞腫だったというケースもあります。 早めに検査を受けておくことで、治療の選択肢を広げることができます。


予防

残念ながら、犬の肥満細胞腫を完全に予防する方法はわかっていません。 しかし、次のような心がけで早期発見・早期治療につなげることはできます。

  • 日頃からスキンシップを兼ねて全身を触る習慣をつける
  • 新しいしこり・できものに気づいたら早めに受診する
  • シニア期に入ったら、年1〜2回の健康診断で体のチェックをする

よくある質問

Q. 犬の肥満細胞腫はがんですか?

A. 肥満細胞腫は「腫瘍(がん)」の一種です。 ただし、悪性度が低く手術で取り切れれば予後が良いものから、高悪性度で転移しやすいものまで幅があります。 病理検査でグレードや進行度を評価することがとても大切です。

Q. 見た目で肥満細胞腫かどうかはわかりますか?

A. 見た目だけで確実に診断することはできません。 細い針で細胞をとる「細胞診」や、手術で切除した腫瘍の「病理検査」で診断します。

Q. 高齢の犬ですが、手術はした方がいいですか?

A. 年齢だけで「手術をしない」と決めるのではなく、全身状態・腫瘍の場所・悪性度・ご家族のご希望を総合的に考えます。 「手術をする」「内科的にできる範囲で治療する」「緩和ケアを中心にする」など、 その子にとってベターな選択を一緒に考えていきましょう。

Q. 一度肥満細胞腫を取れば、もう安心ですか?

A. 低グレードでマージンも十分な場合は予後が良好なことも多いですが、 再発したり、新たな場所に別の肥満細胞腫ができることもあります。 術後も定期的な身体チェックを続けることが大切です。


まとめ

犬の肥満細胞腫は、皮膚や皮下にできる代表的な腫瘍であり、 見た目は「イボ」や「できもの」のようでも、悪性度の高いケースもある侮れない病気です。

早期に見つけて、細胞診や病理検査で性格を見極めることが、治療の方向性を決める第一歩です。 ワンちゃんの体に気になるしこりを見つけたら、どうぞ一度ご相談ください。

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬の肥満細胞腫の検査・治療をお考えの方は当院へご相談ください。
越谷どうぶつ病院
院長 岩岡