うさぎの診療
うさぎはもとより捕食動物から身を守るため具合が悪くても症状を隠す性質があり、気づいた時には重症化していることも少なくありません。それゆえ他の動物よりも予防が重要となります。うさぎの病気の予防の根幹は日常ケアです。
- 牧草を十分に与える
- 太らせない
- 硬いものをかじらせない
- 運動をする(遊ばせる)
- 爪切りやブラッシングをする
- 人に慣れさせる
- 足に優しい床材を選択する
- 十分に広いケージを選択する
- 登れるところと潜れるものを用意する
- 暑すぎず寒すぎない
- 避妊・去勢をする
それでも病気になることはありますので小さな変化を見逃さず、気になることがあればいつでもご相談ください。特に下記のような症状には要注意です。
食欲がない、便が小さい、出ていない
胃腸のうっ滞、歯の過長などあらゆる病気が食欲不振の原因となり得ます。うさぎは食欲が落ちて必要エネルギーが不足すると脂肪肝になりやすく、さらに病態が悪化します。食欲が落ちた、便が少なくなったと感じたらあまり様子は見ず、早めに来院してください。
手や口周りが涎で汚れている、食べていない時も口をもごもご動かしている
歯牙疾患(歯のトラブル)の可能性があります。歯牙疾患は牧草をあまり食べず、短時間で食餌を終わらせてしまう子に多く、口の痛みから食欲が低下し、胃腸の動きも悪くなります。
また鼻涙管という涙の通り道を閉塞させ、涙が多くなったり目ヤニが出るようになることもあります。奥歯の根本に膿が溜まる根尖膿瘍という状態になると内側から目が圧迫され、目が飛び出ているように見えます。
血尿が出た、陰部より出血した
うさぎの尿は正常でも橙色や赤茶褐色となることがあり、見た目だけでは病気との鑑別が困難です。膀胱炎や結石による血尿や、女の子の場合子宮疾患により出血を起こすことがありますのでいつもと違うなと感じたら一度ご相談ください。特に子宮疾患による出血は出血が多くなることもあり命に関わります。
毛が抜けている
換毛期による生理的な脱毛の他に細菌、真菌(カビ)、ダニなどの感染症により脱毛を起こします。また歯牙疾患で涙や涎が出る子は目や口、顎の毛が抜けたり、肥満や運動不足、老化が原因で踵の毛が抜ける足底潰瘍(ソアホック)になることもあります。その他ストレスによる毛抜きやホルモン失調による換毛不全などがあります。