犬の痒み 原因と対処法について解説【越谷どうぶつ病院】

犬が痒がっているとき考えられる原因や自宅でできる対処法について解説します。

犬が痒がっているときは、足で体を掻いたり、口で齧ったり、舐めたり、痒い部位をこすりつけたりします。以下の様子が見られるときは動物病院へ受診しましょう。

 

・体にポツポツとニキビのようなものができている

・足先をよく舐めている

・体をよく掻いており、毛が抜けている

・体をよく掻いており、皮膚がべたついている

・耳や目の周りが赤くなっている

・痒みがあり、フケが出てくる

 

【痒みが出る皮膚病】

膿皮症

膿皮症は、皮膚にもともと存在している黄色ブドウ球菌が感染することによって起こる病気です。

赤く小さい点がポツポツとでき、次第にニキビのような乳白色のおできのようなものが現れます。

はじけると黄色いフケのようなものが地肌や毛に付着している様子が見られます。

内股や胸、背中などに好発します。気温と湿度の高い夏の時期に起きやすくなります。

膿皮症を繰り返す場合は、根底にアレルギー性皮膚炎やホルモン疾患などか関与していることがあります。

治療には、薬用のシャンプー、抗生剤の内服、消毒薬による清拭などを行います。

 

犬の膿皮症について【越谷どうぶつ病院】

 

・アレルギー性皮膚炎

犬の痒みの原因としてよく見られる病気です。食物アレルゲンや環境アレルゲンの暴露により痒みが出ます。

食物アレルギーによる皮膚炎は初発が1歳未満の若い犬に見られます。

目や口の周りと耳に赤みと痒みが見られます。環境アレルゲンによる皮膚炎は指の間やわきの下、内股、肛門周囲に赤みが見られ、次第に黒ずみが見られます。

アレルギー性皮膚炎の犬の多くは食物と環境の両方に原因となるアレルゲンがあると言われています。

治療は原因となるアレルゲンが特定できるのであれば、その排除です。

アレルゲンの特定にはアレルギー検査が有用ですが、検査によりすべてのアレルゲンが特定できるわけではありませんので、原因が特定できない場合もあります。

アレルギー用のフードのみを1カ月与え、痒みの反応をみる除去食試験も有用ですが、原因アレルゲンを含まないフードを一回で選べない場合もあるため、時間がかかります。

スキンケアやサプリメントによる皮膚のバリア機能を正常化することも有効です。

れのみでは痒みを完全にコントロールできない場合は注射や内服薬、塗り薬を併用して痒みを抑えます。

犬のアトピー性皮膚炎・食物アレルギーについて【越谷どうぶつ病院】

 

 

当院では漢方薬なども併用し、皮膚の健康状態を整え、ステロイド剤や免疫抑制剤を減らす工夫をしています。

漢方診療に関してはこちら↓

 

 

・マラセチア性皮膚炎

マラセチアと呼ばれる真菌が、皮脂をエサに増殖することにより起こる皮膚炎です。

体が脂っぽい脂漏症の犬やアトピー性皮膚炎の犬に併発します。

首や内股、指の間、耳などに好発します。皮膚は赤みとべたつきが見られます。

診断は症状のある皮膚にセロハンテープを当て染色したものを、顕微鏡で観察することにより、マラセチアを見つけることが出来ます。

治療は抗真菌薬を含むシャンプーにより、週2~3回体を洗います。

原因となる脂漏のコントロールの為、シャンプー前のクレンジングやシャンプー後の保湿が重要となります。

アトピー性皮膚炎に併発する場合はアトピーの治療が重要となります。

外部寄生虫感染

疥癬ニキビダニなどの外部寄生虫の感染により痒みの伴う皮膚炎が起こります。

この両者は散歩中に付着するノミやマダニと比べるとかなり小さいため、肉眼では確認できません。

掻把試験という専用の器具で皮膚をこすることにより採材し、顕微鏡で虫体を確認する検査をおこない診断します。

疥癬かなり痒みが強く、耳の縁、肘、膝~足首に好発します。人にも移ります

ニキビダニ四肢端、体幹、顔などに膿皮症に似たニキビ用のぷつぷつが見られます。免疫力の弱い子犬やホルモン疾患により免疫力が低下した犬、免疫疾患のために免疫抑制剤を内服している犬などに見られます

治療には駆虫薬が使われます。一部のノミ・マダニ予防薬には疥癬やニキビダニを駆虫することが出来るものがあります。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症はカビの菌である Microsporum canisやTricophyton mentagrophytesなどが感染することにより引き起こされる皮膚炎です。

初期は脱毛が見られ、次第に痒みが認められます顔周りに好発しますが、全身に広がります。

免疫力の低い子犬や老犬、ホルモン疾患を持つ犬、免疫力を抑える薬を内服中の犬に好発します。人間にも感染することがあります

診断にはウッド灯と呼ばれる特殊なライトを当てると菌が発光します。

発光しない種類の菌もいるため、毛を何本か引き抜き、顕微鏡で胞子を確認します。

抜いた毛を培地を呼ばれる糸状菌が発育できる環境が整っている小瓶にいれることにより、糸状菌を増殖させ判定する検査も行います。

治療は抗真菌薬の内服やシャンプーにより治療します。

【自宅でできる対処法】

自宅でできる対処にはシャンプーや消毒液による清拭、皮膚のバリア機能を高めるサプリメントや食餌があります。

受診する際は皮膚症状が明確な方が診断しやすくなりますので、そのままの状態でご来院ください。再発防止としてのスキンケアは重要です。

シャンプーの最適な頻度や種類はその子の肌質により異なります。

動物病院で相談しながら試行錯誤していきましょう。

 

【痒みがあるようにみえるが皮膚病ではないもの】

特定の関節を噛む場合は皮膚病ではなく、関節疾患の場合もありますので、動物病院へ受診しましょう。脊髄空洞症などの神経疾患では首のあたりを掻く仕草が見られます。

 

 

越谷市、レイクタウン、草加市、春日部市、吉川市の方で、犬の痒みでお困りの際は当院へご相談ください。

 

越谷どうぶつ病院

院長 岩岡